多摩川や花の盛りを流れけり

裏庭より仰げる冬の夕焼けかな

傷つつむ白布の如き槿かな

父の日や地下鉄窓と語らへり

裏庭の紫式部実の盛り

うぐいすや今年も声を放つ里

二重虹バス降り両手合わしけり

鬱蒼と庭の足もと透かし百合

庭に出て柔軟体操さつき晴れ

ぐみの実を一粒食むや終戦時

 (No.3令和2年)