自分の青春をかけた仕事が果たして、世の為、人の為に貢献出来たのだろうか? と自問自答して思い悩む日もあります。それは私が会社に入社して配属されましたのは、合成樹脂本部でした。
最初はプラスチック原料を受発注する仕事から始まり、営業としては、新しく出来た包装資材部で、主にカップラーメンの外装として、熱をかけて収縮する透明のフィルムの販売やスナック菓子の包装等に使われているアルミ箔と各種フィルムを張り合わせた包装資材などを販売していました。

また欧米から伝わって来た共押出しフィルムというガス遮断性の高い樹脂を真ん中に上下に熱で袋状に加工出来たり、印刷したりする事が可能な樹脂を一緒に熱で溶融して押し出し、外見は1枚のフィルムとなる技術を導入して、単層の素材と比べ、千倍の酸素遮断性の高い技術と商品を販売して来ました。
こうした素材を使って包装すると、肉や様々な食品の鮮度を保ち・日持ちを長くするものとなります。
また、1980年には、中国の深圳で1週間ほど開催されましたプラスチック包装の展示会に参加して中国の食品包装の近代化への努力をして来ました。

美味しく・日持ちを長くする素材を供給する事により社会に貢献出来る仕事をして来たつもりで、石油産業が「夢の素材」プラスチックを生み出し、大量生産・大量消費時代の様々な要望にプラスチック業界は応えたと思います。

然し、こうした包装資材は中身を消費したとたんにゴミとなり、自然分解しない為に、いつまでも残り続けてしまいます。ガス遮断性の高い包装で食品の鮮度を保つ、レトルトの可能な食品包装、冷蔵庫に入れる為に使用するラップフィルムなどへの対応をして来ました。こうした包装資材のゴミは、リサイクルも困難な状況で焼却するしかなく、そうするとCO2による大気汚染や地球温暖化の原因となります。今後はこうした素材はなるべく使わずに、ゴミをゼロにする生活が理想なのだろうと考えます。

温暖化によって異常高温が日常化すると干ばつが広がり、水が不足し食料が不足となり水や食料をめぐって紛争が起こります。また地球温暖化はグリーンランドはじめ北極、南極に近い所の多くの氷山が溶ける事により、この21世紀中に海面が最低でも26センチ、最高で98センチも上昇すると予測されています。陸地が消失すると気候難民が生まれ、それにより町のスラム化が起こります。
異常気象が常態化して台風・ハリケーンが巨大化し自然災害による水害が多発し気候難民が生まれて、その結果世界経済が衰退する事が予想されます。

世界全体でCO2の年間放出量は330億トンで、このうち第1位の排出国は中国の100億トン(電力の60%が石炭火力発電)、第2位がアメリカの50億トン、第3位がインドで25億トン、第4位がロシアの15億トン、第5位が日本の11億トン、第6位がドイツの7億トンとなっており、日本は2050年までには、CO2の排出を実質ゼロにするという宣言を世界にしています。

人類は18世紀後半に始まった産業革命以来、石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料を燃やすようになりました。これらの比率は、自動車・合成樹脂・火力発電も含む石油が約40%、火力発電も含む石炭が32%、天然ガスが28%となっています。20世紀は石炭、石油の化石燃料の時代で、電力だけで見ると世界の電力需要に占める化石燃料・原子力の比率は72%で、水力が17%、風力が6%、太陽光を含むその他が5%で、まだ圧倒的にCO2が発生する化石燃料によるものが主力となっています。

21世紀は各国がCO2を排出しない脱炭素化を目指す地球にする事と言われています。太陽光、風力、地熱、潮力、中小水力発電などの非化石エネルギーの利用を目指し、特に本命は水素を使ったエネルギーの利用と言う事です。 
原子力のような人類にとって、有害な電力は、すぐに撤退する事が必要と言われています。欧米では既に原発等は撤退の動きをしていますが、世界で唯一の原子爆弾による被害国であり、又3.11の福島での原発事故は、有名なソ連のチェルノブイリと同様、世界でも有名な原発事故の場所です。

戦争での原爆による大きな被害と原発での大きな損害を二つも経験した日本が、2017年に国連で採択された「核兵器禁止条約」への批准という世界的な運動へ先頭に立って参加しているべきなのに、未だに未加盟で参加しておらず、世界からも、どうしてかと不思議がられています。

世界は、この原発事故をきっかけに脱原発にエネルギー政策の舵をきりました。ドイツやアメリカさえも脱原発に動いていますが、当事者である日本は、原発の再稼働に動いたり、逆にベトナムへの原発輸出に努めたり、国連の「核兵器禁止条約」に一貫して反対し続けて来ました。

日本は国土が狭く、地下資源が乏しいので、石油をはじめ沢山のエネルギー資源を輸入していますが、幸い日本は四方を海に囲まれていて水は豊富です。
この水を水素と酸素に分解し、水素を熱エネルギーに使えば、環境には問題なく、全くCO2を排出しない為に温暖化を防げます。合わせてCO2を沢山吸収する森林と海を守り育成し保護する事によって、これからの明るい未来を実現出来ると思います。こうした正しい方向性を一人ひとりが肝に銘じて、行動すべきだろうと思います。

自分のこれまでの努力は?と思い悩む日々もありましたが、大きな津波などでの災害が起こってから慌てるのではなく、我々の毎日の行動が、これからを生きる人類の為に、正しい道を歩いているかを、この機会に常に冷静に、そして客観的に見て判断し行動すべき、とても大切な時代に入っている事を銘記すべきだと感じます。